営業フリーランスも「ポートフォリオ」が必要?AI時代に案件を獲得する実績の見せ方

目次

はじめに

営業フリーランスが案件を探すとき、

「法人営業経験5年」

「新規開拓が得意です」

「SaaS営業の経験があります」

といった経歴をプロフィールへ書くことがあります。

もちろん、営業経験は企業が人材を選ぶ上で重要な情報です。

しかし営業フリーランスが増え、AIによって営業業務そのものも変わっていくと、

「営業経験があります」

だけでは、自分の強みを伝えにくくなる可能性があります。

例えば企業側が知りたいのは、

どんな業界へ営業してきたのか。

どんな顧客を担当したのか。

どの営業工程が得意なのか。

どんな成果を出したのか。

どのように営業を改善したのか。

という、より具体的な情報です。

そこで今後重要になる可能性があるのが、

「営業ポートフォリオ」

という考え方です。

デザイナーやエンジニアが過去の制作物やプロジェクトを見せるように、営業フリーランスも自分の営業経験や実績を整理して見せる。

今回は、AI時代に営業フリーランスが案件を獲得するための「実績の見せ方」について考えていきます。

営業は実力が見えにくい仕事

営業人材を採用するとき、企業には一つ大きな悩みがあります。

それは、

「この人が本当に営業できるのか分かりにくい」

ということです。

例えばデザイナーなら、

過去に作ったWebサイト。

バナー。

ロゴ。

などを見ることができます。

エンジニアなら、

開発経験。

使用技術。

GitHub。

制作サービス。

などを確認できます。

しかし営業では、

過去の商談をそのまま見せることは簡単ではありません。

顧客情報や機密情報も含まれるためです。

そのため、

営業経験○年。

売上○万円。

アポ○件。

といった数字をもとに判断することになります。

「営業経験5年」だけでは違いが分からない

例えば営業フリーランス候補が3人いたとします。

Aさん
法人営業5年

Bさん
法人営業5年

Cさん
法人営業5年

これだけでは企業側は違いを判断できません。

しかし詳しく見ると、

Aさん
SaaSの新規開拓が中心

Bさん
大企業向け既存営業が中心

Cさん
人材業界で経営者商談が中心

だったとします。

同じ「法人営業5年」でも、持っている営業経験は大きく違います。

企業にとって重要なのは、

営業経験があるか

ではなく、

「今回の案件に合う営業経験を持っているか」

です。

営業フリーランスにも「実績の整理」が必要になる

そこで重要になるのが、自分の営業経験を整理することです。

例えば過去の案件について、

業界。

商材。

顧客規模。

営業対象。

営業方法。

担当工程。

実績。

工夫したこと。

改善したこと。

などをまとめます。

単に、

「営業を担当しました」

ではなく、

「どんな営業を、どのように行ったのか」

まで説明できるようにします。

これが営業フリーランス版のポートフォリオです。

売上実績だけがポートフォリオではない

営業実績というと、

売上1億円。

達成率150%。

新規契約50社。

といった大きな数字をイメージするかもしれません。

もちろん、こうした実績があれば強いアピールになります。

しかし営業成果には、

商品。

市場。

ブランド。

営業環境。

担当顧客。

なども影響します。

そのため営業ポートフォリオでは、

売上だけを見る必要はありません。

例えば、

新規市場の営業方法を作った。

営業メールを改善して返信率が上がった。

ターゲットを変更して商談化率が改善した。

新規事業の初期顧客を獲得した。

営業フローを整理した。

という経験も価値があります。

「何をしたか」より「どう改善したか」

AI時代には、さらに重要になるポイントがあります。

それが、

「営業をどう改善したのか」

です。

例えば、

1,000社へ営業しました。

よりも、

最初は1,000社へ広く営業した。

↓

反応データを分析した。

↓

特定業界の商談化率が高いことが分かった。

↓

ターゲットを絞った。

↓

商談化率が改善した。

という経験の方が、

営業担当者の思考が分かります。

企業側も、

「この人は指示された営業をするだけではなく、営業結果から改善できる人だ」

と判断しやすくなります。

AI時代は「営業プロセス」そのものが実績になる

これから営業ではAI活用が増えていきます。

そのため、

「AIを使っています」

だけでは十分なアピールにはならないでしょう。

重要なのは、

AIをどのように営業プロセスへ組み込んだのか

です。

例えば、

企業調査をAIで効率化した。

営業メールの下書きをAIで作成した。

商談前の仮説整理にAIを使った。

議事録作成をAIで効率化した。

営業データの分析にAIを使った。

という経験です。

さらに、

「その結果、営業活動がどう変わったのか」

まで説明できれば、より強い実績になります。

「ChatGPTを使えます」では差別化しにくい

AIが普及すると、

ChatGPTを使えます。

Claudeを使えます。

Geminiを使えます。

ということ自体は珍しくなくなります。

企業側が知りたいのは、

どのAIを使ったか

ではありません。

例えば、

企業調査時間を短縮した。

一社ごとの営業文面を作れるようになった。

商談準備時間を減らした。

商談後の振り返りを習慣化した。

という、

AIを使った結果

です。

営業フリーランスのプロフィールでも、

「AI利用経験」

ではなく、

「AIを営業でどう活用しているのか」

を具体的に書く方が価値を伝えやすくなるでしょう。

営業ポートフォリオには「得意領域」を入れる

前回の記事でも紹介したように、営業フリーランスには専門性が重要になります。

そこで営業ポートフォリオでは、

自分が得意な領域

を明確にします。

例えば、

SaaS新規開拓。

経営者商談。

M&A関連サービス。

インサイドセールス。

新規事業営業。

営業立ち上げ。

などです。

幅広い経験を持っていても、

「一番任せてほしい仕事」

を明確にすることで、企業側も案件との相性を判断しやすくなります。

「誰に営業してきたか」も重要

営業では、顧客層によって必要なスキルが違います。

例えば、

中小企業経営者。

大企業の部長。

営業責任者。

人事担当者。

マーケティング責任者。

では、商談で求められる内容が変わります。

そのため、

「法人営業経験」

だけではなく、

「誰への営業経験があるのか」

を整理しておくと、自分の営業スキルが伝わりやすくなります。

営業工程も分けて考える

営業フリーランス案件では、営業全体を担当するとは限りません。

例えば、

営業リスト作成。

テレアポ。

営業メール。

インサイドセールス。

初回商談。

提案。

クロージング。

既存顧客対応。

営業戦略。

などがあります。

自分が、

どこまで担当できるのか。

どこが特に得意なのか。

を明確にします。

例えば、

「新規開拓から初回商談までが得意」

という人と、

「商談からクロージングが得意」

という人では、向いている案件が違います。

数字はできるだけ「背景」とセットで出す

営業実績では数字も重要です。

例えば、

月20件アポイント。

受注率30%。

売上1,000万円。

という数字です。

ただし数字だけでは、その価値を判断しにくい場合があります。

例えば、

問い合わせ対応で月20件アポ

なのか、

完全新規開拓で月20件アポ

なのかでは意味が違います。

そのため、

「BtoB SaaSの新規開拓で、月20件の商談創出」

というように、

どんな営業だったのか

とセットで説明すると分かりやすくなります。

守秘義務がある案件はどうする?

営業ポートフォリオでは、顧客名や企業情報をそのまま公開できない場合があります。

営業では秘密保持契約を結んでいる案件も多いからです。

その場合は、

企業名を出さなくても構いません。

例えば、

「従業員200名規模のSaaS企業」

「人材関連サービスを提供するスタートアップ」

「M&A関連サービスの新規開拓」

というように、特定できない範囲で説明します。

重要なのは、

具体性

と、

守秘義務

のバランスです。

顧客リストを実績として公開してはいけない

営業フリーランスが特に注意したいのが、顧客情報です。

例えば、

「この企業へ営業しました」

というリストをそのまま公開するのは問題になる可能性があります。

営業先。

担当者。

商談内容。

契約条件。

などは、企業の重要な情報です。

営業ポートフォリオを作る場合でも、

公開してよい情報

と、

公開してはいけない情報

を明確に分ける必要があります。

AIにポートフォリオの整理を手伝ってもらう

過去に多くの営業案件を経験していると、

「何を書けばいいか分からない」

ということもあります。

そこでAIを使って、自分の経験を整理する方法があります。

例えば過去案件について、

業界。

商材。

顧客。

営業方法。

担当範囲。

実績。

工夫。

改善。

を入力します。

そして、

「営業フリーランス向けの実績紹介として整理してください」

と依頼します。

AIに文章をすべて任せるのではなく、

自分の経験を整理するアシスタントとして使います。

AIで実績を誇張しない

ここで重要な注意点があります。

AIにプロフィールを書かせると、

実際より強い表現になることがあります。

例えば、

「営業戦略を担当しました」

と入力しただけなのに、

「営業戦略を全面的に再構築し、売上成長を実現」

という文章になるかもしれません。

実際に行っていないことを実績として書けば、信頼を失います。

そのため、

数字。

仕事内容。

成果。

担当範囲。

は必ず事実を確認します。

営業フリーランスにとって信用は非常に重要です。

「成功事例」だけでなく「改善事例」も価値になる

営業では、すべての案件で大成功するわけではありません。

しかし、

成果が出なかった。

↓

原因を分析した。

↓

営業方法を変更した。

↓

数字が改善した。

という経験も重要です。

例えば、

最初の営業メールでは返信が少なかった。

↓

顧客ごとに冒頭文を変更した。

↓

返信率が改善した。

という経験です。

これは、

「最初から何でも成功できる人」

ではなく、

「営業結果から改善できる人」

という強みになります。

営業ポートフォリオは案件ごとに変えてもいい

一つのプロフィールをすべての案件へ使う必要はありません。

例えば、

SaaS案件へ応募する場合は、

SaaS営業経験。

新規開拓。

営業DX。

AI活用。

を中心に見せます。

M&A関連案件なら、

経営者営業。

高単価商材。

複雑な提案。

法人折衝。

を中心にします。

企業が求めている営業人材に合わせて、

見せる実績の順番

を変えることも重要です。

「自分の営業サービス」を説明できる状態にする

営業フリーランスは、

自分自身が一つのサービス

と考えることもできます。

例えば、

「BtoB SaaS企業向けに、新規開拓から初回商談までを支援します」

という説明です。

さらに、

得意企業規模。

対応できる営業方法。

利用できるツール。

稼働可能時間。

過去実績。

などを加えます。

企業から見て、

「この人へ何をお願いできるのか」

がすぐ分かる状態を作ります。

営業フリーランス自身にも営業力が必要

どれだけ優れた営業経験を持っていても、それを企業へ伝えられなければ案件につながりません。

つまり営業フリーランスには、

企業の商品を売る営業力

だけではなく、

「自分自身を営業する力」

も必要です。

例えば企業との初回面談では、

自分が何をしてきたのか。

何が得意なのか。

今回の案件で何ができるのか。

どのように成果を作るのか。

を説明します。

営業ポートフォリオは、そのための営業資料にもなります。

AI時代は「実績+考え方」が重要になる

AIが汎用的な営業作業を支援できるほど、

営業担当者本人の、

考え方。

判断。

経験。

改善力。

が重要になります。

そのためポートフォリオでも、

「アポ50件取りました」

だけではなく、

なぜその企業を狙ったのか。

どんな営業方法を使ったのか。

どんな問題があったのか。

どう改善したのか。

まで説明できると、営業担当者としての能力が伝わります。

営業人材のマッチングも「経歴」から「実績」へ

企業が営業フリーランスを探す場合、

以前は、

営業経験○年以上。

SaaS経験あり。

という条件が中心でした。

今後は、

新規開拓が得意。

経営者営業が得意。

特定業界に強い。

AIを営業へ組み込める。

営業立ち上げができる。

という具体的な能力によるマッチングが増える可能性があります。

営業人材市場が広がるほど、

「営業経験者」

という大きなくくりではなく、

何ができる営業なのか

が重要になります。

営業フリーランスは実績を蓄積する

営業ポートフォリオは、一度作って終わりではありません。

新しい案件を経験したら、

どんな仕事だったのか。

どんな成果があったのか。

何を学んだのか。

何を改善したのか。

を記録します。

案件を重ねるたびに、自分の営業実績が蓄積されていきます。

数年後には、

単なる職務経歴

ではなく、

「自分だけの営業ノウハウ」

になります。

これから営業フリーランスが残しておきたいもの

営業フリーランスとして活動するなら、案件終了後に実績を振り返る習慣を作ることも重要です。

例えば、

どの業界だったか。

何を売ったか。

誰へ売ったか。

何件営業したか。

何件商談したか。

どんな反応があったか。

何を改善したか。

どんな成果が出たか。

という情報です。

もちろん企業の秘密情報は残さない、または適切に管理する必要があります。

自分自身が担当した仕事について、後から説明できる状態を作っておきます。

営業ポートフォリオが単価交渉にも使える

営業実績が整理されていれば、案件の単価交渉にも使えます。

例えば、

「営業経験があります」

だけでは、なぜ高い報酬が必要なのか説明しにくい場合があります。

しかし、

同じ業界での営業経験。

類似サービスの販売経験。

過去の商談実績。

営業立ち上げ経験。

AIを使った営業効率化。

などを説明できれば、

「この人なら立ち上がりが早そうだ」

「教育コストが少なく済みそうだ」

と企業側が判断できます。

専門性や実績が明確になるほど、価格だけで比較されにくくなる可能性があります。

まとめ

営業フリーランスが増えるほど、

「営業経験があります」

だけでは、自分の強みを伝えにくくなります。

これから重要になるのは、

どんな業界へ営業したのか。

誰へ営業したのか。

どの営業工程を担当したのか。

どんな成果を出したのか。

どのように改善したのか。

AIをどのように活用したのか。

という具体的な営業経験です。

つまり営業フリーランスにも、

「営業ポートフォリオ」

という考え方が重要になる可能性があります。

ただし、デザイナーの作品集のように顧客情報を公開するものではありません。

守秘義務を守りながら、

自分が提供できる営業価値

を分かりやすく整理するものです。

AI時代に企業から選ばれる営業フリーランスは、

経験年数が長い人

だけではありません。

「自分が何をできる営業なのか」

を明確に説明し、

その実績を積み重ねている人です。

営業フリーランス自身も、

企業の商品を売るだけではなく、

自分自身の営業価値を伝える時代になっていくのかもしれません。

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