AIで営業リストは不要になる?「企業リストを作ってから営業する」時代の終わり

目次

はじめに

新規営業を始めるとき、最初に何をするでしょうか。

多くの企業では、

「営業リストを作る」

ところから始めます。

例えば、

東京都

従業員50名以上

IT企業

売上10億円以上

といった条件を設定します。

そして、

500社。

1,000社。

5,000社。

という企業リストを作り、

上から順番に、

電話する。

メールする。

問い合わせフォームへ送る。

という営業活動を行います。

非常に一般的な新規開拓の方法です。

しかしAIが企業情報や購買シグナルを継続的に分析できるようになると、

「最初に大量の営業リストを作る」

という営業方法そのものが変わる可能性があります。

例えばAIが毎日、

「今日営業すべき企業100社」

を選ぶ。

翌日には企業の状況が変わり、

別の100社を選ぶ。

営業担当者は、

固定された営業リスト

ではなく、

「今営業する理由がある企業」

へアプローチする。

そんな営業が増えていくかもしれません。

今回は、AIによって変わる営業リストの未来について考えていきます。

なぜ営業では最初にリストを作るのか?

新規営業では、

「誰に営業するのか」

を決めなければなりません。

例えば法人向けの採用サービスなら、

従業員数。

業界。

採用人数。

所在地。

などからターゲット企業を決めます。

営業支援サービスなら、

営業組織のある企業。

新規開拓を行っている企業。

営業人材を募集している企業。

などを探すかもしれません。

こうして条件に合う企業を集め、

営業リストを作ります。

つまり営業リストは、

「営業対象となる企業の集合」

です。

しかし固定された営業リストには弱点がある

例えば1月に、

1,000社の営業リスト

を作ったとします。

営業担当者が毎日50社ずつアプローチしていけば、すべて営業するまでには時間がかかります。

その間にも企業は変化します。

採用を始める。

新しい事業を始める。

新しい拠点を作る。

経営者が変わる。

資金調達する。

新しいサービスを発表する。

反対に、

採用を停止する。

事業を縮小する。

担当者が退職する。

といった変化もあります。

つまり、

「1月に営業対象だった企業」

が、

「3月にも営業すべき企業」

とは限りません。

企業には「営業しやすいタイミング」がある

さらに重要なのがタイミングです。

例えば採用支援サービスを営業するとします。

A社は、

従業員100名。

IT企業。

東京都。

という理想的なターゲットです。

しかし現在、採用予定がありません。

一方B社は、

従業員70名。

条件としてはA社より少し外れています。

しかし最近、

営業職を10名募集し始めた。

新しい事業部を立ち上げた。

という変化があったとします。

今営業するなら、

B社の方が可能性が高い

かもしれません。

つまり営業では、

「どんな会社なのか」

だけではなく、

「今どんな状態なのか」

が重要です。

従来の営業リストは「会社の属性」を中心に作られていた

これまでの営業リストでは、

業界。

所在地。

従業員数。

売上。

資本金。

設立年。

といった情報がよく使われてきました。

こうした情報は、

「自社の顧客になりそうな会社」

を探すには非常に役立ちます。

しかし、

「今営業すべき会社」

まで判断できるとは限りません。

従業員100名の会社だからといって、

今サービスを必要としているとは限らないからです。

AI営業では「企業の変化」を見る

AIを使った営業では、

企業そのもの

だけではなく、

企業に起きている変化

を営業判断に使いやすくなります。

例えば、

求人を増やした。

資金調達した。

新サービスを発表した。

経営陣が変わった。

新拠点を開設した。

特定分野への投資を始めた。

自社サイトを訪問した。

特定テーマについて情報収集している可能性がある。

などです。

こうした情報を組み合わせ、

「この企業はいま営業する理由があるのではないか」

と判断します。

営業リストが「固定」から「動的」になる

ここで営業リストの考え方が変わります。

従来は、

月曜日
→ 1,000社の営業リストを作る

火曜日
→ 上から電話する

水曜日
→ 続きを電話する

木曜日
→ 続きを電話する

という営業でした。

AIを活用すると、

月曜日
→ AIが営業優先企業を選ぶ

火曜日
→ 新しい情報を反映して順位変更

水曜日
→ 新しい企業が追加される

木曜日
→ 優先度が下がった企業を後回しにする

という営業が可能になります。

営業リストが、

一度作ったら終わりの「表」

ではなく、

常に変化する「ランキング」

になるわけです。

「1,000社のリスト」より「今日の50社」

例えば営業担当者が一日に50社へアプローチできるとします。

その場合、本当に必要なのは、

5,000社の巨大なリスト

でしょうか。

営業担当者が今日必要なのは、

「今日営業すべき50社」

です。

AIが毎日、

顧客との適合度。

企業の変化。

過去の営業履歴。

購買シグナル。

Web上の情報。

などを分析し、

優先順位の高い企業だけを営業担当者へ渡す。

すると営業担当者は、

巨大なExcelファイルを上から順番に処理する必要がなくなります。

「誰に売るか」と「いつ売るか」を分けて考える

AI時代の営業では、

二つの判断が重要になります。

一つ目は、

「誰に売るのか」

です。

これは従来のターゲティングです。

例えば、

SaaS企業。

従業員100〜500名。

営業組織あり。

といった条件です。

そして二つ目が、

「いつ売るのか」

です。

例えば、

営業職の採用を急拡大した。

新しい営業責任者が就任した。

新規事業を開始した。

自社サービスに関連するテーマを調べている。

というタイミングです。

これからの営業では、

ターゲット

×

タイミング

の両方を見ることが重要になるでしょう。

AIが「営業する理由」まで探す

さらにAIは、

「この会社がターゲットです」

だけではなく、

「なぜ今この会社へ営業するのか」

を整理する役割も担う可能性があります。

例えば、

企業A

営業優先度:高

理由:
・営業職の求人を直近で増やしている
・新規事業を発表している
・営業組織拡大の可能性がある

という形です。

営業担当者は、

会社名だけ渡される

のではなく、

「営業する理由」

まで確認してからアプローチできます。

営業メールの内容も変わる

営業タイミングが分かれば、営業メールも変わります。

例えば、

「突然のご連絡失礼いたします。当社は営業支援サービスを提供しております」

という一般的な営業メールではなく、

企業の状況を踏まえて、

「営業組織を拡大されている企業様向けに、新規開拓支援を行っています」

というように、

連絡した理由

を明確にできます。

AI営業では、

誰に送るか

と、

何を書くか

が別々ではなくなります。

「なぜ今この企業なのか」

から営業メッセージを作ることが重要になります。

営業リストの順番も毎日変わる

例えば昨日まで、

A社:90点

B社:85点

C社:70点

だったとします。

しかし今日、C社が新規事業を発表しました。

すると、

C社:95点

A社:90点

B社:85点

となり、

C社が最優先になるかもしれません。

さらにA社へ昨日営業した結果、

「半年後に検討予定」

と分かれば、

A社の短期的な優先順位を下げることもできます。

つまり営業リストは、

企業情報だけではなく、

営業活動の結果

によっても変化していきます。

CRMと営業リストの境界もなくなる?

従来は、

営業リスト

と、

CRM

が分かれている企業も多くあります。

営業前
→ Excelやスプレッドシート

商談化
→ CRMへ登録

という流れです。

しかしAIが継続的に企業を評価するようになれば、

すべての見込み企業が一つのデータベースに存在し、

AIが、

今営業する。

まだ営業しない。

再アプローチする。

優先順位を下げる。

という判断を支援するようになる可能性があります。

すると、

「営業リストを作る」

という作業自体が目立たなくなっていきます。

「リスト件数」が価値ではなくなる

これまで営業リストでは、

「1万社の企業データがあります」

という件数が価値になることがありました。

もちろんデータ量は重要です。

しかしAI時代には、

1万社あること

より、

その中から、

「今日営業すべき30社を正しく選べること」

の方が重要になる可能性があります。

データ量

から、

優先順位付けの精度

へ価値が移るわけです。

営業担当者の仕事も変わる

従来の営業担当者は、

リストを開く。

上から順番に電話する。

結果を入力する。

次の企業へ進む。

という仕事をしていました。

AIによってターゲット選定が自動化されれば、

営業担当者は、

「誰に電話するか」

を探す時間を減らせます。

その代わり、

なぜこの企業が選ばれたのか。

どんな課題がありそうなのか。

どんな質問をするべきなのか。

を考え、

実際の顧客との会話へ集中します。

営業マネージャーの仕事も変わる

営業マネージャーも、

「今日はこのリストを100件電話してください」

という管理から変わる可能性があります。

重要になるのは、

AIがどんな企業を優先しているのか。

その条件は正しいのか。

商談につながった企業にはどんな特徴があるのか。

失注した企業にはどんな特徴があるのか。

を確認することです。

つまり営業マネージャーは、

リストを配る人

から、

「ターゲティングの仕組みを改善する人」

へ変わっていく可能性があります。

AIが選んだ企業が正しいとは限らない

ただし、

「AIに営業先を全部決めてもらえばいい」

という話ではありません。

AIが優先順位を付けるにはデータが必要です。

例えば過去の受注データが偏っていれば、

AIの判断も偏る可能性があります。

また、

採用を増やした

からといって、

必ず自社サービスを必要としているとは限りません。

資金調達した企業が、

必ず予算を持っているとも限りません。

シグナルは、

「購入する証拠」

ではありません。

あくまで、

営業する理由を考える材料

です。

「なぜ選ばれたのか」を人間が確認する

そのためAI営業では、

企業A:営業してください

だけでは不十分です。

企業A:優先度90

理由:
営業職採用を拡大
新規事業開始
過去に類似企業で受注実績あり

というように、

AIが判断した理由

を確認できることが重要になります。

営業担当者が理由を見て、

「確かに営業する価値がありそうだ」

と判断する。

人間による確認を残すことで、AIによる誤ったターゲティングを減らせます。

「営業しない企業」を決めることも重要になる

AIによるターゲティングで意外と重要なのが、

「誰に営業するか」

だけではありません。

「誰に営業しないか」

です。

例えば、

すでに断られている。

契約対象外。

競合企業。

現在商談中。

最近営業したばかり。

明らかに対象外。

という企業へ何度も営業すれば、

営業効率が悪くなるだけでなく、企業イメージにも影響します。

AIを活用するなら、

営業対象を増やす

だけではなく、

不要な営業を減らす

ことも重要です。

営業は「量」から「タイミング」へ

これまで新規営業では、

電話100件。

メール1,000件。

問い合わせフォーム500件。

というように、

営業量

が重要な指標でした。

もちろん一定の営業量は今後も必要です。

しかしAIによってターゲティング精度が上がれば、

「何件営業したか」

だけではなく、

「営業する理由がある企業へ何件営業できたか」

が重要になる可能性があります。

100社へ無差別に営業するより、

今ニーズが生まれている可能性の高い30社へ丁寧に営業する。

営業活動は、

量

×

タイミング

×

関連性

で考えるようになるでしょう。

営業フリーランスの仕事にも影響する

この変化は営業フリーランスにも関係します。

これまで案件では、

「このリスト1,000社へ営業してください」

という依頼がありました。

しかし将来的には、

AIが毎日ターゲット企業を選ぶ。

↓

営業フリーランスがアプローチする。

↓

顧客の反応を記録する。

↓

AIが結果を学習する。

↓

翌日のターゲットが変わる。

という営業方法が増える可能性があります。

すると営業フリーランスにも、

リストを処理する能力

だけではなく、

「顧客の反応から営業仮説を改善する能力」

が求められます。

営業フリーランスが「市場のセンサー」になる

AIは大量の企業情報を分析できます。

しかし実際に顧客と話すことでしか分からないこともあります。

例えば、

「その課題はあるけれど予算がない」

「別の方法ですでに解決している」

「来年度なら検討したい」

「その機能より別の機能が欲しい」

といった情報です。

営業フリーランスが顧客から得た情報をAIへ戻せば、

次のターゲティングを改善できます。

つまり営業担当者は、

AIが作ったリストを消化する人

ではなく、

「市場の情報をAIへ返す人」

にもなります。

営業リストは本当になくなるのか?

結論として、

営業リストそのものが完全になくなるわけではないでしょう。

企業情報。

担当者情報。

過去の営業履歴。

などを管理するデータベースは引き続き必要です。

なくなる可能性があるのは、

「一度作った大量のリストを上から順番に処理する」

という営業方法です。

これからは、

巨大な固定リスト

ではなく、

常に更新される営業候補企業

をAIが評価し続ける。

そして営業担当者には、

「今アプローチすべき企業」

だけが表示される。

そんな営業方法が増えていく可能性があります。

まとめ

これまで新規営業では、

ターゲット条件を決める

↓

営業リストを作る

↓

上から順番に営業する

という方法が一般的でした。

しかしAIによって企業情報や購買シグナルを継続的に分析できるようになると、この方法は変わる可能性があります。

重要になるのは、

「営業リストに何社入っているか」

ではありません。

誰に。

なぜ。

いつ。

営業するのか。

です。

企業の採用。

事業展開。

資金調達。

Web行動。

過去の営業履歴。

さまざまな情報からAIが優先順位を更新する。

営業担当者は、

今日営業する理由がある企業

へ集中する。

営業リストは、

一度作る「名簿」

から、

毎日変化する「営業優先順位」

へ変わっていくのかもしれません。

そしてAI時代の営業で重要になるのは、

大量の企業情報を持っていること

ではなく、

「その中から今営業すべき企業を見つけられること」

なのです。

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