はじめに
営業代行サービスでは、
「アポイント1件につき○万円」
という成果報酬型の料金体系があります。
例えば、
アポ1件3万円。
月10件獲得。
成果報酬30万円。
というように、獲得したアポイント数に応じて料金を支払う仕組みです。
企業側からすると、
成果が出なければ大きな費用が発生しにくい。
営業代行会社側からすると、
成果を出した分だけ報酬が増える。
非常に分かりやすい料金体系です。
しかしAIによって営業活動が効率化されると、
「アポ1件」
という成果の考え方そのものが変わる可能性があります。
AIで企業を探す。
AIで営業先を優先順位付けする。
AIで営業メールを個別化する。
AIでフォローアップする。
AIで商談候補を抽出する。
こうした営業が進めば、これまでより大量のアプローチを少人数で実行できる可能性があります。
すると企業側が重要視するのは、
「何件アポを取ったか」
だけではなく、
「そのアポが本当に売上につながるのか」
になっていくでしょう。
今回はAI時代に営業代行の成果報酬がどう変わるのかを考えていきます。
なぜ「アポ1件○円」が使われてきたのか
営業代行の成果報酬でアポイントが使われやすい理由は、成果地点が分かりやすいからです。
例えば営業代行会社へ、
「売上を増やしてください」
と依頼したとします。
しかし売上にはさまざまな要素が影響します。
商品の価格。
サービスの競争力。
営業資料。
商談担当者。
提案内容。
契約条件。
顧客側の予算。
などです。
営業代行会社がアポイントを作っても、その後の商談を依頼企業が担当するなら、最終的な受注まで営業代行会社だけでコントロールすることはできません。
そこで、
「商談機会を作るところまで」
を成果地点にします。
アポイントが取れた。
↓
成果発生。
という仕組みです。
成果の判定が比較的分かりやすいため、成果報酬と相性が良いわけです。
しかし「アポなら何でもいい」という問題が起きる
アポイント数だけを成果にすると、一つ問題があります。
それは、
「アポイントの質」
です。
例えば営業代行会社Aが、
月20件のアポイント
を獲得したとします。
非常に良い成果に見えます。
しかし実際に商談してみると、
担当者に決裁権がない。
サービス対象外の企業。
予算がない。
単なる情報収集。
導入予定がない。
という商談ばかりだったとします。
一方、営業代行会社Bは、
月8件
しかアポイントを作れませんでした。
しかし、
8件中5件が具体的な検討へ進んだ。
となれば、企業にとってどちらの価値が高いでしょうか。
単純なアポ件数だけでは判断できません。
KPIを設定すると、その数字を増やす行動が起きる
これは営業代行だけの問題ではありません。
営業では、
何を成果として設定するか
によって行動が変わります。
例えば、
架電数
をKPIにすれば、電話件数を増やします。
メール送信数
をKPIにすれば、メール数を増やします。
アポイント数
を成果地点にすれば、アポイント数を増やそうとします。
もちろん、それ自体は悪いことではありません。
問題は、
企業が本当に欲しい成果
と、
報酬が発生する成果
がズレる場合があることです。
企業が欲しいのは、
アポイント
そのものではありません。
最終的には、
売上につながる可能性のある顧客との商談
です。
AIによって「量」はさらに増やしやすくなる
AIは、この問題をさらに重要にする可能性があります。
これまで営業メールを1,000社へ個別化するには、多くの人手が必要でした。
しかしAIを活用すれば、
企業情報を調べる。
文章を作る。
企業ごとに訴求を変える。
フォローアップする。
といった作業を効率化できます。
さらに、
ターゲット企業の抽出。
優先順位付け。
商談前の情報整理。
までAIで支援できます。
つまり営業代行会社は、
同じ人数でもより多くの営業活動を実行できる可能性があります。
大量アプローチでアポが増えても成功とは限らない
例えば従来、
月1,000社へ営業
↓
アポ10件
だったとします。
AI導入後、
月10,000社へ営業
↓
アポ50件
になったとします。
アポ数だけ見れば5倍です。
しかし、
商談後に案件化したのは同じ5件
だったらどうでしょうか。
営業活動量は10倍。
アポ数は5倍。
しかし本当に価値のある商談は増えていません。
それにもかかわらず、
アポ1件3万円
なら、
従来
10件×3万円=30万円
AI導入後
50件×3万円=150万円
になります。
企業側からすると、
「費用は5倍になったのに、案件数は変わらない」
ということが起きる可能性があります。
AI時代ほど「アポの定義」が重要になる
そこで重要になるのが、
「何をアポイントと呼ぶのか」
です。
例えば、
日程が決まればアポ。
担当者と話せればアポ。
課題が確認できればアポ。
導入意向があればアポ。
対象条件を満たしていればアポ。
では意味が違います。
成果報酬契約では、
アポ1件○円
と決める前に、
「どの状態になったら成果なのか」
を明確にする必要があります。
「有効商談」という考え方
今後さらに重要になる可能性があるのが、
有効商談
という考え方です。
例えば、
対象業界である。
対象企業規模である。
担当部署が合っている。
一定の課題が確認できている。
商談への同意がある。
など、事前に条件を設定します。
条件を満たした商談だけを、
成果報酬の対象
にします。
すると営業代行会社も、
とにかく日程を取る
のではなく、
「依頼企業にとって価値のある商談を作る」
ことを目指すようになります。
AIならアポの「質」を判定しやすくなる?
ここでもAIを活用できる可能性があります。
例えばアポイント獲得までの、
メール。
電話。
問い合わせ内容。
顧客情報。
などをAIで整理します。
そして、
対象企業なのか。
どんな課題があるのか。
誰が商談へ参加するのか。
なぜ商談を受けたのか。
を確認します。
商談後には、
顧客課題。
予算。
導入時期。
意思決定者。
競合。
次回アクション。
などを整理します。
すると、
アポが取れた
という一つの数字だけではなく、
「どんなアポだったのか」
まで分析しやすくなります。
成果地点を「案件化」にする方法
さらに成果地点を一段階後ろへ移す方法もあります。
例えば、
アポ獲得
→ 1万円
有効商談
→ 追加2万円
案件化
→ 追加5万円
というように、
営業プロセスの進行に応じて成果報酬を設定します。
こうすれば、
アポイントを大量に取ること
だけでは報酬が最大化されません。
より質の高い営業機会を作ることが、営業代行会社側にも重要になります。
「受注成果報酬」という考え方
さらに、
受注したら成果報酬
という方法もあります。
例えば、
受注金額の10%。
契約1件につき○万円。
などです。
企業側からすると、
売上が発生してから費用を支払う
ため、非常に分かりやすいモデルです。
しかし営業代行会社側からすると、リスクがあります。
なぜなら、
商談後の提案。
見積もり。
契約交渉。
サービス品質。
価格。
などを依頼企業側が担当する場合、営業代行会社ではコントロールできないからです。
良い商談を作っても、
依頼企業の商談担当者がうまく提案できなければ受注しない可能性があります。
そのため、
すべての営業代行を受注成果報酬にすればいい
というわけではありません。
AI時代は「段階成果報酬」が増える?
そこで相性が良いのが、
営業プロセスごとに成果を分ける方法です。
例えば、
有効アポ
→ 報酬
案件化
→ 追加報酬
受注
→ 追加報酬
という設計です。
営業代行会社は、
商談を作る
だけでも一定の報酬を受け取れます。
さらに質の高い商談を作り、
案件化や受注につながれば報酬が増えます。
企業側と営業代行側の目標を、
「アポ数」
だけではなく、
「売上につながる営業機会」
へ近づけることができます。
固定費+成果報酬も重要になる
もう一つ考えられるのが、
固定費
+
成果報酬
です。
例えば、
月額10万円
+
有効商談1件2万円
+
受注時追加報酬
という形です。
なぜ固定費が必要なのでしょうか。
営業活動には、
成果が出る前にも仕事があるからです。
ターゲット設計。
営業リスト整備。
営業文面作成。
AI設定。
CRM設計。
データ分析。
改善。
などです。
これらをすべて、
「アポが取れたときだけ報酬」
にすると、営業代行側が長期的な改善へ投資しにくくなる場合があります。
固定費で営業基盤を作り、
成果報酬で結果へのインセンティブを付ける。
AI時代には、こうしたハイブリッド型の料金設計も重要になるでしょう。
「AIを使ったから安くなる」とは限らない
企業側からすると、
「AIを使えば営業代行の料金も安くなるのでは?」
と思うかもしれません。
確かに、
企業調査。
メール作成。
議事録。
データ整理。
などの作業時間は短縮できる可能性があります。
しかし営業代行の価値が、
作業時間
ではなく、
成果
で決まるのであれば話は別です。
例えば、
人間だけで月5件の有効商談
だった営業代行会社が、
AIを活用して月15件の有効商談
を作れるようになったとします。
企業にとって価値は下がっていません。
むしろ上がっています。
AIによって変わるのは、
「営業代行が安くなる」
というより、
「同じ人数で生み出せる営業成果が増える」
という方向かもしれません。
営業代行会社の評価基準も変わる
AI時代には営業代行会社を選ぶ基準も変わる可能性があります。
例えば、
何件電話できますか?
何件メールできますか?
何人営業担当者がいますか?
だけではなく、
どのようにターゲット企業を選びますか?
どのように企業ごとの訴求を作りますか?
AIをどこで使っていますか?
アポの質をどう確認していますか?
商談結果をどう次の営業へ反映しますか?
という質問が重要になります。
つまり、
「どれだけ営業作業ができるか」
ではなく、
「どれだけ営業成果を改善できる仕組みを持っているか」
で営業代行会社が評価されるようになるでしょう。
AIで成果の「原因」まで見えるようになる
営業代行では、
今月アポ10件でした
という報告だけで終わることがあります。
しかしAIを活用すれば、
どの業界から反応があったのか。
どの企業規模が商談化したのか。
どんな訴求が反応されたのか。
どんな断り理由が多かったのか。
どの商談が案件化したのか。
まで分析しやすくなります。
すると企業が買うものも、
「アポ10件」
だけではなく、
「市場から得られた営業データ」
へ広がります。
新規事業では特に重要
これは新規事業の営業で特に重要です。
新しいサービスの場合、
誰に売れるのか。
どんな課題が強いのか。
どの業界が反応するのか。
どんな訴求が刺さるのか。
がまだ分かりません。
この段階で、
アポ数だけ
を追うと、
なぜ商談になったのか
が分からないまま営業を続ける可能性があります。
一方、
AIで営業結果を分析し、
製造業から反応が多い。
従業員100〜300名が商談化しやすい。
「コスト削減」より「人手不足」の訴求が強い。
という情報が分かれば、
次の営業戦略を改善できます。
営業代行の価値が、
アポ獲得
+
市場学習
になるわけです。
営業フリーランスの報酬にも影響する
この変化は営業フリーランスにも関係します。
営業フリーランスの案件でも、
アポ1件○円。
受注1件○円。
時給○円。
月額固定。
など、さまざまな報酬体系があります。
AIによって営業活動を効率化できるようになると、
「何時間働いたか」
より、
「どんな成果を作ったか」
を評価する案件が増える可能性があります。
AIを使える営業フリーランスほど成果を増やせる?
例えば営業フリーランスAさんは、
企業を一社ずつ調査。
営業メールを一通ずつ作成。
商談準備もすべて手作業。
という働き方です。
Bさんは、
AIで企業情報を整理。
AIで営業メールの下書きを作成。
AIで商談準備。
商談後の分析もAIで効率化。
という働き方です。
営業力が同じなら、Bさんの方がより多くの営業活動を実行できる可能性があります。
成果報酬型の案件では、
AIによって生産性を上げられる営業フリーランスほど、
同じ時間でも報酬を増やせる可能性があります。
ただし「アポを量産する人」だけでは価値が下がる可能性
一方で、
とにかくアポを取る
だけの営業人材は競争が激しくなる可能性があります。
AIによって、
ターゲット抽出。
営業メール。
フォローアップ。
営業分析。
などが効率化されるからです。
これから営業フリーランスに求められるのは、
アポを取る
だけではなく、
なぜこの企業を狙うのか。
なぜ商談になったのか。
なぜ案件化しなかったのか。
次はどう改善するのか。
まで考えられることです。
営業作業を提供する人
から、
「営業成果を改善する人」
へ価値が移っていくでしょう。
成果報酬はなくなるのか?
結論として、
営業代行の成果報酬がなくなるわけではないでしょう。
成果が出た分だけ支払う仕組みは、企業にとって分かりやすいからです。
ただし、
「アポが取れたら一律○万円」
という単純なモデルは見直される可能性があります。
例えば、
アポ。
有効商談。
案件化。
受注。
という営業プロセスごとに成果を定義する。
さらに、
固定費
+
段階成果報酬
を組み合わせる。
AIによって営業活動のデータが細かく取れるほど、
成果報酬そのものも細かく設計できるようになります。
AI時代の成果報酬で重要な5つのポイント
これから営業代行の成果報酬を考える場合、少なくとも次の5つは重要になるでしょう。
1. 成果地点を明確にする
日程が決まったら成果なのか。
対象条件を満たした商談なのか。
案件化したら成果なのか。
最初に定義します。
2. 有効商談の条件を決める
業界。
企業規模。
担当部署。
役職。
課題。
など、必要に応じて条件を決めます。
3. 除外条件を決める
既存顧客。
過去商談企業。
対象外企業。
重複アポ。
キャンセル。
などをどう扱うのか決めます。
4. 商談後まで追跡する
アポ件数だけではなく、
案件化。
提案。
受注。
まで追跡します。
5. 営業結果を次の営業へ反映する
どんな企業が受注したのか。
どんな企業が失注したのか。
AIと営業担当者が分析し、次のターゲティングへ反映します。
まとめ
営業代行では長く、
「アポ1件○円」
という分かりやすい成果報酬モデルが使われてきました。
しかしAIによって、
企業調査。
ターゲティング。
営業メール。
フォローアップ。
営業分析。
などが効率化されると、
アポイント数そのものは以前より増やしやすくなる可能性があります。
そこで重要になるのが、
「何件アポを取ったか」
ではなく、
「どんなアポを取ったか」
です。
対象企業なのか。
顧客課題があるのか。
案件化したのか。
受注につながったのか。
AIによって営業プロセスを細かく分析できるほど、
営業代行の成果報酬も、
アポ数
から、
営業成果の質
を見る仕組みへ変わっていく可能性があります。
そして営業代行会社や営業フリーランスに求められるのも、
単にアポイントを作る能力
だけではありません。
ターゲットを考える。
営業する。
結果を分析する。
改善する。
そして売上につながる営業機会を増やす。
AI時代には、
「営業作業の量」
ではなく、
「営業成果をどれだけ改善できるか」
が、営業人材や営業支援会社の価値を決めるようになるのかもしれません。
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AIによって営業活動を効率化できる時代では、単純な営業件数だけではなく、有効商談や案件化など、より売上に近い成果を作れる営業人材の価値が高まる可能性があります。
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