テレアポのKPI「架電数」はもう古い?AI時代に変わる営業KPI

目次

はじめに

「今日は何件電話した?」

営業組織では、昔からよく使われてきた質問です。

例えば、

1日100件架電。

営業メール500件送信。

新規接触50件。

アポイント5件。

といった数字をKPIとして設定し、営業担当者の活動を管理します。

新規開拓では一定の営業量が必要です。

そのため、

「何件行動したのか」

を確認すること自体には意味があります。

しかしAIによって、

営業する企業を選ぶ。

企業について調査する。

営業メールを個別化する。

アプローチするタイミングを判断する。

商談内容を分析する。

といったことができるようになると、

「とにかく100件電話する」

という営業管理は変わる可能性があります。

例えば、

100件電話して1件商談になる営業担当者。

AIを使って営業先を選び、30件電話して3件商談になる営業担当者。

どちらを高く評価するべきでしょうか。

今回はAIによって変わる営業KPIについて考えていきます。

なぜ営業では「行動量」が重視されてきたのか

営業成果には不確実性があります。

電話しても担当者につながるとは限りません。

商談しても受注するとは限りません。

さらに受注まで数か月かかることもあります。

そのため、

売上

だけで営業担当者を管理すると、

「今きちんと営業活動をしているのか」

が分かりません。

そこで使われてきたのが、

架電数。

メール送信数。

訪問数。

商談数。

提案件数。

といった中間指標です。

例えば、

100件架電

↓

10件接続

↓

3件商談

↓

1件受注

という営業ファネルを作ります。

売上が出る前でも、

「必要な営業活動ができているか」

を確認できるわけです。

「100件電話する」は管理しやすい

行動量KPIには、もう一つメリットがあります。

非常に分かりやすいことです。

営業担当者A
100件架電

営業担当者B
70件架電

営業担当者C
30件架電

と表示されれば、

誰がどれくらい活動したのか

を簡単に確認できます。

マネージャーとしても、

「今週は架電数を増やしてください」

と指示しやすくなります。

しかし、

管理しやすい数字

と、

成果につながる数字

は必ずしも同じではありません。

架電数をKPIにすると「架電すること」が目的になる

例えば、

1日100件架電

というKPIを設定したとします。

すると営業担当者は、

100件電話すること

を目標にします。

本来の目的は、

顧客を見つけること。

商談を作ること。

受注すること。

のはずです。

しかし評価される数字が架電数なら、

つながる可能性が低い企業でも電話する。

ターゲットではない企業にも電話する。

十分に企業調査せず電話する。

という行動が増える可能性があります。

KPIを達成することと、

営業成果を出すこと

がズレてしまうわけです。

AIによって「営業量」そのものの意味が変わる

ここにAIが入ります。

例えばAIが、

顧客になりやすい企業。

最近動きがあった企業。

過去に反応が良かった企業と似ている企業。

今営業する理由がある企業。

を優先してくれるとします。

すると、

無差別に100件電話する

より、

優先度の高い30社へ電話する

方が成果につながる可能性があります。

こうなると、

「100件電話した人の方が頑張っている」

とは単純に言えなくなります。

営業KPIは「量」から「質×量」へ

AI時代になっても営業量が不要になるわけではありません。

30件より100件アプローチした方が、接点を作れる可能性が高くなる場合は当然あります。

重要なのは、

量だけを見ないこと

です。

例えば、

架電数

だけではなく、

ターゲット適合企業への架電数。

接続率。

会話化率。

商談化率。

有効商談率。

受注率。

などを組み合わせます。

すると、

何件電話したか

だけではなく、

「その営業活動がどれくらい成果につながったか」

を見ることができます。

「誰に電話したか」がKPIになる

例えば営業担当者AとBがいます。

Aさん
100件架電
商談1件

Bさん
40件架電
商談4件

従来の活動量だけを見れば、

Aさんの方が活動しています。

しかし営業効率ではBさんの方が高いことになります。

さらに調べると、

BさんはAIを使って、

採用拡大企業。

新規事業開始企業。

過去の受注企業と似ている企業。

などを優先していたとします。

すると評価するべきなのは、

電話した件数

だけではありません。

「適切な企業へ電話できていたか」

です。

「なぜ電話したか」も重要になる

さらにAI時代では、

営業する理由

も重要になります。

例えば、

A社へ電話
理由:リストの上にあったから

B社へ電話
理由:営業職採用を直近で拡大しているから

C社へ電話
理由:新規事業を発表しており、自社サービスとの関連性が高いから

では、営業の質が違います。

これからの営業では、

何件営業したか

だけではなく、

「営業する理由がある企業へ何件接触できたか」

という考え方が重要になるでしょう。

メール営業でも「送信数」だけでは足りない

これは営業メールでも同じです。

例えば、

営業担当者A
1,000件送信
返信5件

営業担当者B
200件送信
返信15件

だったとします。

単純な送信数ではAさんが圧倒的です。

しかし営業成果につながっているのはBさんかもしれません。

AIによって、

企業を調査する。

送る理由を考える。

企業ごとに文章を調整する。

といった営業が可能になれば、

大量送信数

より、

有効返信率。

商談化率。

ターゲット適合率。

などの方が重要になる可能性があります。

「返信率」だけを見るのも危険

ただし、

返信率が高ければいい

というわけでもありません。

例えば200件送って、

返信20件。

返信率10%。

だったとします。

一見すると非常に良い数字です。

しかし20件のうち、

「不要です」

「今後連絡しないでください」

という返信が多ければ、営業成果にはつながりません。

そのため、

返信数

だけではなく、

ポジティブ返信。

商談。

有効商談。

受注。

まで見る必要があります。

AI時代ほど、

表面的な数字ではなく、

営業成果へつながる数字

を見ることが重要になります。

「商談数」もすべて同じではない

営業組織では、

月20商談

といったKPIもあります。

しかし20商談の中身は同じではありません。

例えば、

ターゲット企業ではない商談。

決裁権のない担当者との商談。

情報収集だけの商談。

予算がまったくない商談。

すぐ導入を検討している商談。

では価値が違います。

そのため、

商談数

だけではなく、

有効商談数

を見る企業も増えていくでしょう。

AIが商談の「質」まで分析する

AIを使えば、商談後の分析も変わります。

例えば商談内容から、

顧客課題が明確になったか。

予算について確認したか。

導入時期を確認したか。

意思決定者について確認したか。

次回アクションを設定したか。

などを整理できます。

すると、

商談を10件した

だけではなく、

「どれだけ前に進む商談を作れたか」

を見ることができます。

営業KPIが「行動」から「前進」へ変わる

ここで営業KPIの考え方が変わります。

従来は、

電話した。

メールした。

商談した。

という、

「行動したか」

を見るKPIが中心でした。

これからは、

顧客と接点を作れた。

課題を確認できた。

決裁者と接点を持てた。

次回商談が決まった。

提案へ進んだ。

受注確度が上がった。

という、

「案件が前進したか」

を見る考え方が重要になる可能性があります。

AIなら営業プロセス全体を追いやすい

例えば一つの企業について、

AIがターゲットとして選定

↓

営業メール送信

↓

返信

↓

初回商談

↓

課題確認

↓

提案

↓

決裁者商談

↓

受注

という流れを記録します。

すると、

「メールを何件送ったか」

だけではなく、

どの企業群が商談になりやすいのか。

どんなメールが返信されやすいのか。

どんな商談が受注につながるのか。

まで分析できます。

営業KPIが、

一つひとつの活動

から、

営業プロセス全体

を見るものへ変わっていきます。

「AIが何件やったか」は人間の評価に入れるべき?

さらに面白い問題があります。

例えば営業担当者Aが、

自分で100件企業調査した

とします。

営業担当者Bは、

AIで500社を分析し、

その中から50社だけ確認した

とします。

従来なら、

Aさんの方が作業量は多い

と評価されるかもしれません。

しかし企業にとって重要なのは、

作業量

ではなく、

成果です。

AI時代には、

「どれだけ作業したか」

ではなく、

「AIを含めた営業システム全体でどれだけ成果を出したか」

を見る必要があります。

営業担当者の「頑張り」が見えにくくなる?

一方で、これは営業マネジメントを難しくする可能性もあります。

これまでは、

100件電話した

という数字を見れば、

活動していることが分かりました。

しかしAIによって作業が自動化されると、

営業担当者が何をしているのか

が見えにくくなる場合があります。

そこで重要になるのが、

成果だけ

でも、

活動量だけ

でもない評価です。

AI時代の営業KPIは3層で考える

これからの営業KPIは、大きく3つに分けて考えると分かりやすいでしょう。

1. 活動KPI

例えば、

架電数。

メール送信数。

新規接触数。

商談数。

です。

営業活動が十分に行われているかを見る指標です。

2. 効率KPI

例えば、

接続率。

返信率。

商談化率。

有効商談率。

提案化率。

です。

営業活動の質を見る指標です。

3. 成果KPI

例えば、

受注数。

売上。

粗利益。

契約金額。

継続率。

です。

最終的に営業活動が事業成果へつながったかを見る指標です。

AI時代には、

この3つを組み合わせて見ることが重要になります。

「1日100件」の一律KPIも変わる可能性

さらにAIによって営業先の優先順位が変わると、

全員に同じ活動量KPIを設定する

ことも難しくなるかもしれません。

例えば、

大企業向け営業。

中小企業向け営業。

経営者営業。

インサイドセールス。

では、一件あたりに必要な時間が違います。

大企業への営業では、

企業調査に時間をかけ、

一社ごとに個別提案する。

中小企業向けなら、

より多くの企業へアプローチする。

という違いがあります。

それにもかかわらず、

「全員1日100件」

と設定すると、営業戦略とKPIが合わなくなる可能性があります。

AIが営業担当者ごとにKPIを変える?

将来的には、

営業担当者全員に同じKPI

ではなく、

担当市場や営業方法に合わせてKPIを変えることも考えられます。

例えば、

Aさん
新規開拓担当
→ 新規接触・商談化率

Bさん
大型案件担当
→ 有効商談・案件進捗

Cさん
既存顧客担当
→ 継続率・アップセル

という形です。

さらにAIが過去データを分析し、

「この市場では何件の営業活動が必要なのか」

を判断するようになる可能性もあります。

営業マネージャーの仕事も変わる

営業マネージャーの仕事も、

「架電数が足りない」

と指摘するだけではなくなります。

例えば、

なぜ接続率が低いのか。

なぜ商談化率が低いのか。

ターゲットが間違っているのか。

営業メッセージが悪いのか。

商談で課題を聞けていないのか。

提案後に止まっているのか。

営業データを見ながら、

「どこに問題があるのか」

を特定する仕事が重要になります。

営業マネージャーは、

行動量を管理する人

から、

「営業システムを改善する人」

へ変わっていくでしょう。

AIにKPIを追わせるだけでは危険

もちろん、

AIが数字を分析してくれるなら全部任せればいい

という話ではありません。

例えばAIが、

「商談化率が低いので、優先度の低い企業を営業対象から外しましょう」

と提案したとします。

短期的には合理的です。

しかし、その中に、

受注まで時間はかかるものの契約金額が大きい企業

が含まれているかもしれません。

数字だけを最適化すると、

短期的に成果が出やすい案件ばかり追い、

将来の大型案件を失う可能性があります。

KPIは、

経営戦略

とセットで考える必要があります。

KPIを増やしすぎる問題にも注意

AIによって営業データを大量に分析できるようになると、

何でも数字にしたくなります。

架電数。

接続率。

会話時間。

質問数。

返信率。

商談化率。

提案率。

次回設定率。

AIスコア。

などです。

しかし営業担当者が20個、30個のKPIを追うようになれば、

「結局何を改善すればいいのか」

分からなくなります。

AIで測れること

と、

管理すべきこと

は同じではありません。

本当に成果につながる数個の指標へ絞ることも重要です。

営業フリーランスの評価も変わる

営業フリーランスにも、この変化は関係します。

これまで案件では、

月1,000件架電。

1日100件営業。

月○件アポイント。

といった条件が設定されることがあります。

しかしAIによってターゲティングや営業準備が高度化すれば、

単純な営業量だけではなく、

商談化率。

有効商談数。

案件化率。

受注貢献。

などが評価されるようになる可能性があります。

「何件やった人」から「成果を作れる人」へ

営業フリーランスにとっては、これはチャンスでもあります。

例えば、

1日100件電話できる人

より、

ターゲットを分析し、

30件の営業から複数の有効商談を作れる人

の価値が高くなる可能性があります。

営業量だけではなく、

誰に営業するか。

どんな仮説で営業するか。

どんな反応があったか。

次にどう改善するか。

まで考えられる営業人材です。

AI時代には、

「営業作業をする人」

より、

「営業成果を設計できる人」

の市場価値が高くなるでしょう。

架電数KPIは本当になくなるのか?

結論として、

架電数というKPIが完全になくなるわけではないでしょう。

営業活動が極端に少なければ、成果が出ないこともあります。

そのため活動量を確認する指標として、

架電数。

メール数。

接触数。

は引き続き役立ちます。

ただし、

架電数だけを追う

という営業管理は変わっていく可能性があります。

100件電話したか。

ではなく、

誰に電話したのか。

なぜ電話したのか。

何件つながったのか。

何件商談になったのか。

その商談は有効だったのか。

最終的に受注へつながったのか。

まで見る。

架電数は、

営業担当者を評価する最終的な数字

ではなく、

営業プロセスを診断する一つの数字

になっていくでしょう。

まとめ

これまで営業組織では、

架電数。

メール送信数。

商談数。

といった「活動量」が重要なKPIとして使われてきました。

しかしAIによって、

営業する企業。

営業するタイミング。

営業メッセージ。

商談内容。

まで分析できるようになると、

単純な活動量だけでは営業成果を正しく評価しにくくなります。

これから重要になるのは、

活動量

×

営業効率

×

事業成果

です。

何件電話したのか。

だけではなく、

誰に電話したのか。

なぜ電話したのか。

どれくらい商談になったのか。

その商談がどれくらい前進したのか。

最終的にどれくらい売上につながったのか。

を見る。

AI時代の営業KPIは、

「営業担当者がどれだけ動いたか」

を監視する数字から、

「営業プロセスのどこを改善すべきか」

を見つける数字へ変わっていくのかもしれません。

そして営業担当者に求められるのも、

たくさん行動すること

だけではありません。

AIを使って営業先を選び、

営業結果を分析し、

次の営業を改善する。

「営業量をこなせる人」から、

「営業成果を改善し続けられる人」

へ。

営業人材の価値も変わっていくでしょう。

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